哀しみの瞳
由理の寝顔を見ながら、秀一は、いつまでも、寝れないでいた。



由理を妹として、家族として生活して以来、自分にとっては、由理がすべてであった。



由理をしあわせにしてやること。そして何より、由理を守ってやること。母との約束でもある。



こんなにも、由理の居ない日々をすごす事が、辛いという事を改めて気付いてしまった。


由理の頭を撫でて……頬に手をやる。今日は、どれだけ泣いたのやら、小さい頃の面影がまだ、残っている。



あどけない寝顔……ふいに、抱き締めてやりたい欲望にかられ、思わず、はっと、我に帰る。



…………今の自分の気持ちは……妹としての、愛しさなのであろうか?
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