哀しみの瞳
由理のところへ戻ると、由理は、ぐったりとしていた。勢いあまって、此処まで来るのには、どれ程の緊張をして来たことだろう。
秀一の顔を見て、思いっきり泣いた事で、張り詰めていた糸が、切れてしまったのであろう。



布団を敷いてやり、寝かせようとした時、由理は、目を覚ました。



(由理)
「しゅう?……私どうしたらいいの?このまま、しゅう達の家族として、今までと変わらずに居ていいの?父さんにも、美佐子さん達にも…申し訳ないもの…」


暫く考え込んでいた秀一は、覚悟を決めたように、言った。



(秀一)
「由理!!聞いて、ちゃんと聞いて欲しい…」



秀一は、当時の生まれたばかりの頃からの事を、包み隠さず、由理に話した。勿論、母のことも、すべて話した。



(秀一)
「由理?……由理は、俺と、血がつながってないって判ったら…兄じゃなくなるのか?嫌いになるのか?ダメなのか?俺じゃ!」



(由理)
「嫌いになんて…なる訳ない!しゅうは、しゅうだし…ずっとずっと、私のお兄ちゃんだよ!何時だって、私のこと守ってくれてて、……ダメなんかじゃないよ!そうじゃなくて、私の方が、しゅうの妹でいいの?血のつながってない、赤の他人なんだよ!誰の子供かも判んない子なんだよ!そんなんでいいの?父さんの娘じゃないんだぁ、私は………」

ポロポロ涙を流している。



秀一は、思わず由理を抱き締める。強く、更に強く……



(秀一)
「由理!!泣くな!って…俺は、母さんが、亡くなる時、約束したんだ、母さんと…由理のことは、必ず守るからって!………泣くんじゃない!!!俺が、ずっと…ずっと、一緒にいてやるから……守ってやるから!」
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