哀しみの瞳


(由理)
「そっか!……やっぱり…しゅうも、父さんと同じ気持ちなんだね?
由理は、本当の両親の所へ行ったら良いって……………判ったよ!…由理は……行くよ!父さんに…言ってくる。」



由理が部屋から出て行こうとする。


(秀一)
「由理!!!由理!」後ろから、抱き締める。

「由理!俺は…俺は…………」
言葉が出てこない。
(心の中では、叫んでいる……此処に居ろ!此処に居てくれ!ずっと此処に居て…俺がお前をしあわせにしてやるから……男として……)



由理は、秀一の腕を解き、出て行ってしまう。



今の秀一には、由理に掛けてやる言葉が見つからなかった。というより、本当の気持ちを言う勇気が無かった。
< 234 / 296 >

この作品をシェア

pagetop