哀しみの瞳
深夜、眠れぬ様子の秀一が、リビングに居た。



秀が、奥から出てくる。


(秀)
「秀一?眠れないのか?由理のことか?由理には、何か言ってやったのか?両親の所へ行くってだけ、言ってたが…」



(秀一)
「何も…言ってやってませんよ!」


(秀)
「由理は、お前が……引き止めてくれるものと思ってたんだろうな!」


(秀一)
「貴方が言ったんじゃないですか!由理のしあわせは、此処だけなのか?と……此処に居ろとも、そこへ行けとも、俺からは……言えないでしょう!」



(秀)
「そうかっ、……………話し変わるが…お前卒業したら、此処に帰って来るのか?就職は、どうする?決めたのか?」



(秀一)
「………此処へは…戻っては来ません。大学に残ります。」



(秀)
「何だ!由理が居なくなるからか?残るって、大学院の方か?」



(秀一)
「いえっ、研究室にです。教授に、誘われていたので…残ることにします!」



(秀)
「今決めたみたいな言い方だな!………由理が出て行く日が分かれば知らせるから、見送ってやれよ!」



(秀一)
「いえっ……それはっ……今朝にでも、ちゃんと言ってやりますから…それで…」
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