哀しみの瞳
待子は、理恵の事では、ずっと悩んでいた。いつも次郎とは理恵の事でばかり、喧嘩になり、もうどうすればいいのか分からなくなっていた。挙げ句にあのお義姉さんの厭味な態度。もう理恵をかばい切る事は自分には無理だと思った。やっぱり、こうなった以上は、九州の熊本にいる、姉のみち子夫婦に相談するしかないと…

待子が次郎と再婚する時、理恵を引き取ってあげると言ってくれたものを、断って、理恵と自分と次郎との3人で暮らす方を選んだ事もあって、今更と言われるような気もするが、今は、そんなこと気にしてる余裕は無かった。もう、待子としては、限界だった。

勇気を出して電話を掛けてみた。


みち子夫婦には、子供がいない。前まえから、理恵の事は気に掛けてくれていた為、やっぱりと言われてしまった。一つ返事で、理恵を引き取る事を快諾してくれ、おまけに、地元の大学へ行く事も勧めてくれた。造り酒屋の跡取りとして大事に育ててあげるからと言ってもらい、待子はこれで、すべてがうまく行くと思った。次郎にも、安心して報告出来る。


理恵には、機会をみて話そうと思っていた。理恵の幸せにつながる事なのだから!
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