危険なアイツと結婚生活







この日は優弥さんの家に泊まった。

どうやらあたしたちの家は多くの人にバレてしまったらしく。

ライブ当日の今日はファンが押しかけているかもしれないと優弥さんが言っていた。





「もうそろそろ家を買うときだね」




ふかふかの布団に潜り込み、蒼は口を開いた。




「でも、その前に就職先も見つけなきゃ」



「蒼、就職しなくても……」




思わずそう言って、口を噤む。




確かに蒼はFのみでもやっていけるだろう。

むしろ、今までが負担だった。

会社員とFを掛け持ちするのは、やっぱりハードだ。

だけど……

蒼はずっと建築士になりたいと言っていた。

自分の家を建てたいと。

そんな夢を否定してはいけないよね。



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