危険なアイツと結婚生活
意識は朦朧としていた。
必死で痛みに耐えるあたしの背中に、硬膜外麻酔のチューブが挿管される。
痛そう。
なのに、痛みなんて感じなかった。
それよりもお腹が痛くて。
双子が心配で。
「よろしくお願いします」
あたしは小野先生に告げた。
蒼のことは考えないようにした。
よりによって今日は、Fのライブの日だから。
今日の彼は戸崎蒼ではない。
日本中が熱狂する碧だ。
たくさんのファンがライブを待っている。
だから、蒼の気を惑わせてはいけないと思っていた。
蒼は悲しむかもしれない。
だけど、事後報告でいいよ。
きっと……
小野先生は赤ちゃんを助けてくれるから。
赤ちゃんは元気だから!