危険なアイツと結婚生活





ー唯sideー








蒼とつきあい始めてもうすぐ8年。

月日が流れるのは早かった。

今の蒼は会社員として働いていて、Fの活動は休止している。

すっかり見かけもおとなしくなってしまった蒼。

会社の人にもFのことは内緒にしているらしい。

蒼は一般人になって、穏やかな日々を過ごしていた。

……穏やかすぎる日々だった。









「唯たち、結婚しないの?」




久しぶりに会った亜美は、困った顔でそう言った。




「もうそろそろいい歳だし」




亜美はそんなことを言う。





あたしもね、本当は結婚したい。

でも、蒼にそんな気がないような気がするんだ。

いつも会社の人や、Fのメンバーと出歩いていて。

夏はキャンプに冬はスノーボード。

独身生活を謳歌している蒼。

こんな蒼と結婚して、楽しみを奪うのはいけない気がした。



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