危険なアイツと結婚生活
「碧さん。感動しました」
ホールを出ると、スタッフの人々がいて。
みんなハンカチで目頭を押さえていた。
「とんでもないです。
それに、僕の無理を聞いてくださってありがとうございます」
蒼は丁寧に頭を下げる。
「クリスマスに通常営業したら、繁盛するでしょうに」
「確かにそうかもしれません。
ですが、それ以上に価値のあるライブでした」
支配人のような男性は、顔をぐしゃぐしゃにして言う。
すごいな、蒼。
あたしだけじゃなくて、スタッフの方まで虜にするなんて。
やっぱりその才能は健在だよね。
「それにしても碧さん。
今日はパフォーマンスが全く違いましたね」
「えぇ……そんな日もあります」
蒼はそう言って、スタッフの方々に丁寧にお礼を言ってライブハウスをあとにした。