危険なアイツと結婚生活





「……あの時は悪かった」




不意に優弥さんが呟く。

小野先生は驚いた顔で優弥さんを見た。




「おのちゃんの彼女に手ぇ出して」




その言葉が病室に響き、そして消えていった。





小野先生の言っていたことは本当だったんだ。

やっぱり小野先生と優弥さんは喧嘩して卒業して。

そして、小野先生は優弥さんを憎んでいる……?








「えんちゃん、覚えてたんだ」




小野先生は少しだけ笑いながらそう言った。




「えんちゃん、モテるから忘れてたと思った、ありがとう」




小野先生は穏やかだ。

そして、大人なんだと再確認する。

当時はきっと辛かったのに、今はこうやって水に流せる。

そして、




「そんなこともあったけど、僕も来年あたりには結婚するから」




思わぬ嬉しい言葉を聞く。




「本当ですか?」




思わず聞くと、小野先生はにっこりして頷いた。





こんなわけで、あたしの心配は杞憂に終わった。

そして、喧嘩別れした優弥さんと小野先生も無事仲直りしたみたいで。

小野先生がバスケ部のOB戦に優弥さんをやたら誘っていた。





一匹狼で怖い優弥さん。

だけど、本当は思いやりがあって、しっかり者の優弥さん。

優弥さんと小野先生、これからも仲良しでいてほしい。



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