危険なアイツと結婚生活










キャンプサイトへ帰ると、多くの人々は去ったあとのようだった。

それでも近くのグループの刺すような視線を感じたりした。

なんだか居心地が悪い。

蒼はこんな視線に囲まれて生活していたんだ。

そう思うと、今みたいに羽を伸ばして生活していることは、蒼にとって幸せなのかもしれない。






そんな周りの視線なんて気にしない蒼。

帰ってきた瞬間、




「肉食べよ〜!」




なんて言って、金網に牛肉を放り投げる。

すると、例外なく




「あんた、帰ってきて早々肉食べよじゃないわよ!」




紅さんの強烈な蹴りが入る。

足を押さえて呻く蒼。

そんな蒼を、紅さんは高みから見下ろしていた。





「こっちはお腹空いて死にそうだったのよ?

ひなもご飯我慢して、かわいそうに」



「す……すみません」




こんないつもの蒼、だけど、碧とはかけ離れた蒼を見て、他の客は複雑な顔をしていた。




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