ほのかな香り
3章

4月の下旬。
色葉はクラスにも慣れ、
落ち着きがみえてきた。

少し前まで残っていた冬の空気も
今はすっかり感じなくなっている。
窓際には光が差し込み、
優しい風が吹き込む。

その場所で
男女が盛り上がっていた。
「色葉、これ食べろよー」
「どれ〜?」

お菓子を勧めるのは、
在野風馬(ありの ふうま)。
短めの黒髪、垂れた丸い目。
やんちゃで、天真爛漫。
少しいじわるなところもある。
向日葵を連想させる男の子だ。

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