涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
夕凪がいた。
制服のズボンのポケットに片手を突っ込み、ゆっくりと歩いている。
その姿は、私の知っている彼ではなかった。
緩くウェーブのついた髪は、金色に染められていた。
右耳には、今まで無かったピアスが3つ。
真新しい制服を着崩して、指定のネクタイもつけていない。
今までの夕凪は、サーフィン一途の爽やかな好青年だった。
校則を破るタイプではない。
それなのに今の夕凪は、
不良っぽいと言うか…軽薄そうと言うか…
かなり驚いて、ホワイトボードの前で固まっていた。
そんな私の隣まで歩いてきて、夕凪はクラス表を見た。
自分の名前と、私の名前、二つを確認して、
「ゲッ…」と呟く。