涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
 


夕凪が私を見下ろした。


まともに視線を合わせてくれたのは久しぶりで、嬉しいはずなのに喜べない。

声も出ない。



夕凪は綺麗な顔を歪めて、嫌そうに言った。



「同じクラスなんて、マジ最悪…
話しかけんなよ」




そう言った後は、私に背を向け立ち去ろうとする。


大きな歩幅で歩く彼を、慌てて追い掛けた。


その腕を掴み、必死に引き止める。



ゴクリと唾を飲み、震える声で聞いた。



「どうして…?」




聞きたいことは沢山あったのに、それしか言葉にならなかった。



夕凪に、荒々しく手を解かれた。

どうしてと聞いた私の問いに、冷たい答えが返ってきた。




「嫌いだから」




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