涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
夕凪が海に入って行く。
海水浴場は波消しブロックに囲まれ、高波が立たないが、
このサーフィンエリアは、今日も2メートルの良い波が来ていた。
夕凪が沖に出て行き、その姿が小さくなる。
遠くの波間にしばらくプカプカ浮かび、
この波だと決めたところで、動き出す。
夕凪の他にも、たくさんのサーファーが波を待っていた。
初心者らしきお兄さんが、夕凪と同じ波に乗ろうとして、乗れずに落ちていた。
夕凪は絶妙なタイミングで、ボードに立ち上がる。
左に向け、波を縫うようにボードを滑らせる。
左に向かう波が消えそうになると、ターンして右に戻ってくる。
スピードに乗り力強く、波を走る。
白波が立ち始め砕け散る手前で、夕凪が空に飛び出した。
華麗に宙で回転し、ライディングを終えた。
周囲の見物客から、拍手が湧いた。
クラスの女子はキャアキャアと騒いでいる。
サーフィンを教えろと言った男子は、
「あんなの、出来るわけねーだろ…」
と苦笑いして、褒めていた。