涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
3車線の内、1車線を丸々占領し、バイクが3台争っていた。
周囲の車は迷惑そうな顔して、
巻き込まれないよう、他の車線に移って行く。
夕凪が私の方へ寄ろうとするけど、柄シャツ男のバイクが執拗に邪魔してくる。
進路を塞ぐように蛇行運転したり、蹴ろうとしたり……
その間に、ピアス男がバイクを加速させた。
夕凪との距離が、どんどん離されてしまう。
夕凪の姿が豆粒ほどになった時、
大きな交差点に差し掛かった。
目の前の信号は、青から黄色に変わる。
バイクは止まらず、黄色信号の交差点を直進した。
「巻いたな」
とピアス男が言う。
「手応えねぇ奴」
赤髪の男が笑って言った。
やっぱり3対1は無理なのだと、
諦めかけた。
諦めと同時に、これで良かったと思う気持ちもあった。
これ以上追ってきて、夕凪が危険な目に合うのが嫌だった。
追い掛けてきてくれただけで、
気持ちは伝わった。
もういい。
もう十分だから、
これ以上、危険を冒さないで……