涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
 


3車線の内、1車線を丸々占領し、バイクが3台争っていた。


周囲の車は迷惑そうな顔して、
巻き込まれないよう、他の車線に移って行く。



夕凪が私の方へ寄ろうとするけど、柄シャツ男のバイクが執拗に邪魔してくる。


進路を塞ぐように蛇行運転したり、蹴ろうとしたり……


その間に、ピアス男がバイクを加速させた。


夕凪との距離が、どんどん離されてしまう。



夕凪の姿が豆粒ほどになった時、
大きな交差点に差し掛かった。



目の前の信号は、青から黄色に変わる。


バイクは止まらず、黄色信号の交差点を直進した。



「巻いたな」

とピアス男が言う。



「手応えねぇ奴」

赤髪の男が笑って言った。



やっぱり3対1は無理なのだと、
諦めかけた。


諦めと同時に、これで良かったと思う気持ちもあった。



これ以上追ってきて、夕凪が危険な目に合うのが嫌だった。


追い掛けてきてくれただけで、
気持ちは伝わった。



もういい。

もう十分だから、

これ以上、危険を冒さないで……



< 299 / 378 >

この作品をシェア

pagetop