涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
 


目の前のおっとりした優しい顔を見て、私は言った。



「加奈、ありがとう。

私ね… 夕凪に話しかけてみる。

あ…でも… 明日から。

今日は、えーと…もう少し気持ちを固めて…」




加奈が吹き出して、笑っていた。


決意した後に、やっぱり弱気になる私が可笑しかったみたい。



少し気持ちが、前向きになれた気がした。


二人で笑いながら食べたお弁当は、入学してから一番美味しく感じた。




 ◇◇




その日の帰り道。

バスを下りると、家とは反対方向に歩いた。



向かった場所は、“駄菓子の富倉”



時刻は17時近く、

夕日が古い木造店舗を、温かな色に染めていた。



中に入ると、懐かしい匂いがする。


駄菓子の甘い匂いに加え、日用品も置いているから、

石鹸や蚊取り線香やトイレットペーパーや…色んな匂いが混在する。



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