涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
体育委員が全員の名前を黒板に書き終えてから、
不思議そうな顔を上條君に向けた。
「上條、いいのか?
バスケかバレーがいいと、言ってたのに」
上條君は挑戦的な目を、
体育委員ではなく、窓際の夕凪に向けた。
「気が変わったんだ。
俺、貝原と勝負してみたくなった」
その言葉で、クラスがザワザワ騒ぎ出す。
上條君は注目の中、ゆっくり歩いて夕凪の横に立つ。
夕凪は頬杖ついたまま、上條君を睨み上げ、
それから視線を窓の外に戻した。
お前の誘いには乗らない。
俺に構うなと、言いたげに見えた。
上條君が夕凪の机に手をついて、無理やり視界に自分を入れた。
ニヤリ笑って、宣戦布告する。
「お前さ、実際のところ、スポーツ万能なんだって?
毎朝、波乗りで鍛えていると聞いたぞ。
足も相当速いんだろうな。
スゲー楽しみ。
絶対、負かしてやるから逃げんなよ。
逃げたら、お前の負けだからな」