[中]余命24時間
『撮影コースを選んでね!』
小さな小さなボックスの中に、誰だかわからない女の人の声が響きわたる。
タッチペンを握りながら鼻歌を歌うあたしとは正反対に、翔の表情は戸惑い気味。
「…美音…マジでやんの…?」
呆れ顔、というか戸惑い顔、というか。
なんとも言えない顔をしながら、翔はあたしに問いかけてくる。
「あったりまえじゃん!
最低5枚は撮るからね」
いかにも安物のドレスに身を包むあたしと、不機嫌な顔をしながらタキシードを着る翔。
プリクラ機の中で、あたしたちはまるで結婚式を挙げるような格好をしていた。
町外れにもかかわらず、いつも人で溢れかえっているこのゲームセンターには、
プリクラを撮るための衣装が置いてある。
衣装の貸し出しは無料で、プリクラを撮りに来た人なら誰でも着れる。
このゲームセンターを初めて知ったときから、ずっと夢だった。
翔と並んで、ドレスを着てプリクラを撮ること。