【短】俺とあの人~狼の恋~
「やっ…高橋ク…」


あの人の唇が開いた隙に、俺の舌が入り込む。


ビクッと動いたあの人の肩が、さらに俺の興味を煽った。




薄っすらと開けている俺の目に、あの人の顔が映る。



赤く染まっていく顔…。


潤んだ瞳…。





俺の視線に気づいた瞬間、

あの人は思いっきり俺を突き放し左頬を平手で叩いた。




『パシン!!』という歯切れの良い音が図書室に響き渡る。




あの人は潤んだ瞳で俺を睨みつけ、逃げるように図書室を出て行った。






おもしろい…。


キスする時、あんたはあんなかわいい顔するんだ‥。


そのかわいい目が、俺に気づいて焦った顔。


俺を殴った小さな手…。








あの人のことがもっと知りたくなった。



誰も知らないあの人を、

俺はもっと知りたい。






何にも興味を持たなかった俺の世界に、

あの人が光を差した。














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