【短】俺とあの人~狼の恋~
担任の野田先生が戻ってきて、あの人とは教室でも会わなくなった。



もともと会うことがなくて顔すら知らなかったあの人。


あの人に会う前の生活に戻っただけなのに、

前とは別世界の生活が始まったようだった。





俺は一人、図書室で初雪を見た。


薄暗い放課後の図書室。




震える体が熱を求めて鳥肌を立たせる。


だけど、俺が本当に求めているのは

あの人の温もりだった。





ずっと、

ずっと忘れられないあの人…。




つまらなかった俺の世界で、

たったひとつ光り輝いたあの人…。




あの人に初めて会ったとき、

俺はなんとも思わなかった。




だけど、あの人と初めて話したとき、

もっと話しがしたいって思ったんだ…。




あの人に名前を呼ばれたとき、

もっとその声で呼んでほしいって思ったんだ…。




あの人が困った顔をすると、

助けたいって思ったんだ…。




あの人に初めて触れたとき、

もっと温もりを感じたいって思ったんだ…。







俺の心は


いつの間にかあの人でいっぱいになってたんだ…。










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