【短】俺とあの人~狼の恋~
ホームルームが終わると、安藤が声をかけてきた。


「猛、なにイライラしてんの?」


「べつにイライラなんてしてねえよ」


「もしかして鈴木に嫉妬してた?」


「は!?なんで鈴木に嫉妬すんだよ‥」



安藤は少し変わった奴だと思ってたけど、どこまで変わってんだ?

俺がどうして嫉妬なんかすんだよ。



「由紀ちゃんのこと好きなんだろ~」


「何言ってんだよ!俺があの人のこと好きになるわけねぇだろ!
あんなチビ好きになんかなんねぇよ!」


「うっそだ~~!今由紀ちゃんのこと『あの人』って呼んだ!
それって由紀ちゃんを先生として見てないってことだろ」




安藤に言われてドキッとした。


そういえば俺、あの人を先生だなんて思ってない。


小さくて、気が弱くて、つい守ってやりたくなる‥‥‥女。




だけど、俺があの人を好きになるなんてありえない。


だって、俺とあの人はまだ一度しか話したことないし‥

それも少し俺がからかっただけのこと。





それに、あの人は先生…。




ありえねぇよ…。





「おまえの考えすぎだ!」


安藤の肩を叩いて俺はトイレに行った。



なんの用も無いトイレに。













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