【短】俺とあの人~狼の恋~
新しい世界
「由紀ちゃん彼氏いるの?」


朝のホームルーム。

出欠をとっているあの人に、クラスの男子が質問をした。


「鈴木君、質問はいいから返事をして」

「由紀ちゃんが質問に答えてくれたら返事するよ!」



あの人はまた困った顔してる。


「ねぇ~、由紀ちゃん彼氏いるの~?」




鈴木うるさい。

こんな奴に構わずさっさと出欠とれよ‥。


そんな‥困った顔するなよ‥。




俺はなぜかイライラしてた。


鈴木がうるさいのはいつものことなのに、俺の心に妙に引っかかった。




「俺、トイレに行きたいから早くすすめて下さい」

イラつきが収まらない俺は、行きたくもないトイレに行きたいなんて言ってた。



「あっごめんね。すぐ終わらせるから…」


あの人はすぐに出欠をとりはじめた。



そして、俺の名前を呼んだ。


「高橋君」




他の奴と同じように出欠をとっただけなのに、

俺の心はくすぐられた。






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