涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
「サクは、俺にとって世界一大切な女の子やから」
私は知らなかった。
レイが抱えていた想いに。苦しみに。
彼女だったのに、支えてあげることが出来なかった。
知らずにいたら、きっと、後悔してもしきれない結末になってたところだよ。
……圭都。
私に知らせてくれてありがとう。
グッと涙を拭うと、立ち上がって両頬を力いっぱいに叩いた。
泣き虫サクは、ここでばいばい。
支えてもらうばかりのサクは、さよなら。
今度は……私の番……。
「レイ……!」
思い切って扉を開けた。
ビックリしたように目を見開くレイの瞳からは大粒の涙が流れていた。
「サク……!なんで……っ」
ふっ……と、息をこぼすように笑った圭都をレイが睨む。
そして立ち上がると圭都は「んじゃ、俺は帰る」と、教室を出て行った。
「……余計なことしやがって」
「なにが余計なことよ!レイのばかばか!あほ!世界一のばかちん!!」