涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
「雨やーん!髪がボサボサなる〜っ」
窓から憂鬱そうに雨を見上げるのは真理ちゃんだ。
……全然ボサボサじゃないよ?
ここのところ毎日雨が降っている。
田舎も梅雨入りした。
田舎の道は水浸しになるとほぼ泥になっちゃうから、不快なのは間違いないけれど。
「よし、圭都!雨ばやませてや」
「いや、さすがにムリだから」
「なんでよっ。役立たずぅ〜!」
真理ちゃんと圭都の会話にクスクス笑っているとレイが「雨は俺も好かん」と苦笑い。
「なんで?」
「んー、濡れるの好かんし」
へぇー。そうなんや。
……雨に濡れたレイもきっとかっこいいんだろうな。
なんて、まだ私はレイが好き。
そりゃそうだ。
10年以上もレイに恋して来たんだから、そう簡単に消えるような淡い想いじゃない。
「サク?気分悪い?」
「……へ?悪くないっ、悪くないっ!」
私が倒れた日以来、レイはよく私の体調を気遣ってくれるようになった。