「近未来少年少女」





『それさっき聞いたよ』


『何回言ってもいいじゃんっ♪』


そう言うとシオリは再びスキップを始めた。

それから五番街、四番街を抜けて三番街に到着した


その間、どこからか音楽のようなものが聞こえて、多分住人達が夜通し遊んでるんだと思う。

ここでは毎日がお祭りみたいなものだから。


『送ってくれてありがとね』

どうやらシオリの家に着いたらしい。やっぱり俺には全部同じに見えるけど。


『いーえ、ちゃんと鍵閉めて寝ろよ?おやすみ』


『………あ、ユウキ……』


別れ際、何故かシオリが俺を呼び止める。


『なに?』


『いや、あの………あ!一人で帰れるかなって!
また迷子になっちゃったら……』


『来た道戻ればいいんだろ?馬鹿にすんなよ』


『はは………ごめん』


なんとなくシオリが不自然で俺は何かを悟った。


『なんだよ?早く言わないとまじで帰るよ?』


『だから……その…………
話し聞いてくれて……嬉しかった。引かれると思ってたからさ。でもユウキに言って良かったよ』


学校で見ていたシオリとは違う顔。
こんな女の子みたいな顔するんだって初めて知った


『お、おう』


『じぁ、気を付けて帰ってね、おやすみ』


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐バタンっ。
シオリの家のドアが閉まった。


なんだろう、この感じ。

俺の中で今までなかった何かが芽生えたような……


今日この時の瞬間が俺にとって
また何かの始まりだったと気付くのは


もう少し先の事。



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