「近未来少年少女」



メグは俺がここから出たい事を冷静に受け入れていた。でも驚いたりしない。

メグには全てお見通しなんだから。


『そんな事、簡単に言うなよ』

やめるなんて簡単に言うな。これは俺だけの問題じゃない。この世界を野放しにしたらきっとこれから大変な事が起きてしまう。


『なんで?簡単よ。何も考えずここで楽しく暮らすだけ。その方があんたも楽なんじゃない?』

『………っ…』


俺は怒りを押さえて、勢いよくメグに背を向けた。


『俺は絶対この世界から出てやる』

そう言い放って家から出ようとした時、背中越しでメグが呟く。


『あたしはあんたの味方だけど、
それ以上にミノルの味方よ』

『………』

『あたし達は姉と弟のような関係で友達にはなれなかった。なんでか分かる?』

『…………』


『友達は作るものじゃなくて、
いつの間にかなってるものだって…………
ユウキ、あんたがミノルに教えたんでしょ?』


『俺があいつに?
そんな事、言った記憶もないし何も覚えてねーよ』

俺はそのまま外に飛び出した。


【メグミ】に会えば何かが変わるかもしれない。
そう思っていたのに……………

結局何も分からないまま、
俺は何をどうすればいいんだろう。


誰も手を差し伸べてくれない。

誰も肝心な事は教えてくれない。


俺1人ではこの世界は広すぎて謎が多すぎて、
自分の記憶ひとつ思い出す事が出来ない。

唯一の希望が無くなったみたいに、
俺の中で絶望が広がった。


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