裏切り
高倉愛
「ん…ここは…」気づけばどうやら自分はね寝てしまっていたのだろうか。辺りを見回せばあまり暗くてよく見えない。しかし隣で晴海の寝息が聞こえる。一体ここはどこなのだろう?
「ちょっと!晴海!起きてっ」
「ん…何?愛?」
「私達、一体今どこにいるの?何で気を失ってたの!?」
「え…どういう事…ん…」眠そうな目をこすりながら晴海はむくっと起きた。愛達のいる場所は何か眠気を誘いそうなふかふかのシーツが愛達の下に敷かれていて二人の身体の上にはまた眠気を誘いそうなふんわりとした毛布がかけられている。
「一体、どうなっているのかしら?」
「わからないわ。私達、ここに来た事記憶にないわよね?」
「ええ。ほんとに。」
そんな事を二人で話していたら不意にぱちんっと音がして気づけば部屋の中は明るくなっていた。いきなり点けられた電気に二人は目を細める。
「皆さん。気分はどうですか?」
不意に声がする方を見ればそ主は愛達の先生の浅井だった。
「先生…?」
周りをよく見ると愛達の隣にも知っている生徒がちらほら。まだ眠っている生徒いる。
「皆さん。良いですか?よくお聞きなさい。あなた達は捕らわれた身となっております。ですが決して希望は捨てないでちょうだい。今から言う条件をクリアできた者はここから出る事ができます」
ざわざわとする部屋。
「はぁ~!?どういう事だよ!説明しろ!」
「冗談じゃないわ!」
「愛、私達どうなっちゃうの?」泣きそうな顔をしながら言う晴海。
「数百年前に日本で起きた少子高齢化、あの年は非常に働く人材が少なく非常に大変だった時代があります。段々と改善されていきましたが、ここ数年でまた同じ傾向にありつつあるのが今の日本の現状です。
ですから、皆さんにはその協力をしていただきたいのです。より社会に貢献する態度をとれた者はここから出られます。良いですね?言っている事は理解できるはずです。それでは、ごきげんよう。」
そう言って先生は去っていった。部屋中はしんと静まりかえる。その後愛達がどうなったのかは言うまでもない。
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