裏切り
ちちっ。小鳥の鳴く声が聞こえ気づけば朝になっていた。「もう、朝なのね。早いわ。一日絶つのって」
「お嬢様。朝御飯の支度が出来ていますよー!」
「はーい!今行くわ!」
急いで支度をして1階に降りる。「今日は買い物をして、それから練習始めるわ!」
「そうか。由利亜の好きな様にしなさい」
父親のいつもの優しい声。
「あぁ、それとお前の好きなチョコレート、入荷しといたぞ。そこのドアを後で開いてみなさい。たくさん置いてあるから」
「パパっ!大好きよ!」由利亜がパパに抱きつく。
「私はこれくらいの事しかしてやれないからね。思う存分満喫しなさい」
ピンポーンと音がする。
「はーい!」由利亜が勢いよくドアを開ける。
「まぁ、お母様!あと、鈴音!」
「由利亜!久しぶりね!」
「お姉さま。元気そうでなによりです」
二人はこの数ヵ月間海外で音楽活動をしていた為家を留守にしていたのだ。
「これでようやく家族がそろったわね!」
お母様と買い物をし、帰ってきてお母様に買ってもらったお気に入りのワンピースを着て由利亜はピアノの練習を始めた。
お母様の歌と鈴音の奏でるバイオリンの綺麗な音色が別荘中に響きわたせる。
この幸せな家族は誰もが羨む素敵な家族で、地位も名誉も全てを手にしたまさに最高の人生を歩む、いわゆる最高級の4人であった。そう、この日までは…
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