晴れ、時々、運命のいたずら



徳島有紗と福岡翔太。


幼馴染の2人がお互いを意識し始めたのはいつ頃の事なのか分からない。


物心ついた時には、隣にいて、そして好きになっていた。


中学入学と同時に翔太から告白し、有紗は涙を流しながらはい、と返事した。



「私がアイドルになろうと思ったのは…。」



有紗が翔太を見つめながら話し出す。


2人の背後に見える土器川の水が夕日の光を浴びてキラキラと輝きを見せている。



「いつの日か、ステージの上にいる私を翔太に迎えに来て貰いたいから…。」



「迎えに来て、って…?」



「私は翔太と一緒に入れてとっても幸せ。でも、私なんかが翔太と釣り合う訳ないし、ってずっと思っていた。だから、一生懸命自分を磨いて、素敵な女性になって、翔太の隣に居ても全然恥ずかしくない女になりたいって思って…。」



見つめる目から落ちる涙を、翔太がそっと指先でなぞった。



「何だよ、それ…。」



「だって…、翔太は私にはもったいないくらいカッコいいし、優しいし…。」



「俺には有紗しかいない。有紗以外の女なんて考えた事もない。」



「そんな…。」



有紗が言い終わる前に唇がそっと塞がれた。


唇と唇が軽く触れる程の口づけを交わした後、翔太はズボンのポケットからある物を取り出し、有紗の前に差し出した。


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