晴れ、時々、運命のいたずら



「あ、愛姫さん、手紙来てますよ。」



気付いた女性スタッフが駆け寄り、にこやかに封筒を差し出す。



「ありがとう…。」



何通かの封筒を1つずつ宛名を見て確認する。


ラジオ局、先日の高崎のショッピングモール、そして…。



(穂乃花ちゃん…。)



ピンク色の封筒。


真っ先に封を開けて中の便箋を広げた。



『富山愛姫様。
長野まで来て頂いてありがとうございました。
先日の高崎のイベント、見に行きました。
長野で私の悩みを聞いて下さったお蔭で、こんな私にも勇気が出て、しっかりと自分の思いを伝える事が出来ました。
ありがとうございました。』



(あの時の…。)



高崎のショッピングモールで穂乃花が男の子と仲良く歩いている所を目撃した。



(良かった…。)



今までの暗い表情から自然と笑顔に変わる。


しかし、すぐにまた暗い表情に戻った。



『…高崎のイベント、翔太さんの姿を見かけませんでした。
私は必ず来ていたと信じているのですが、メールを送っても返事が来ません。
ごめんなさい、勝手な事しているようですが、何だか心配で…。
翔太さんが愛姫さんを迎えに行く日を私も楽しみにしています。宮崎穂乃花。』


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