晴れ、時々、運命のいたずら



(やっぱり来てなかったんだね…。)



隼太からの連絡で翔太が入院していた事実を知った。


改めてその事実が突き付けられる。



(メールの返事が来ない…。)



愛姫自身、高崎のイベントの後、恐怖心があり翔太に連絡を取っていない。


どうしても悪い方向に考えが向いて行く。


穂乃花からのピンクの便箋と封筒を傍に置くと、残りの封筒も確認する。



「長崎さん、この他には手紙なかったですか?」



先程、手紙を渡してくれた女性スタッフに問いかける。



「愛姫さん宛にはお渡しした分だけでした。」



(やっぱり…。)



封筒を全て傍に置くと、その場で俯いたまま動けなくなった。



(香川に帰りたい。翔太の顔が見たい…。)



しかし、典子や社長の直美にまで反対された。



(こんな気持ちでやっててもいいのかな…。私、どうしたら…。)



その時、携帯が鳴りだした。


画面を開いて着信者を確認する。



「えっ?」



その名前を見て思わず愛姫は驚きの声を上げた。


そして名前を見つめたまま、涙が浮かんできた。



(お願い、助けて…。)


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