晴れ、時々、運命のいたずら



「だって、新しいクラスメイトだよ?新しい仲間じゃん。優しくするの、当たり前だよ!」



顔を上げて自信を持って言ってくる稔の顔を見ると、穂乃花も自然と笑顔になって行く。



(千葉君…。)



「あ、やっと来た来た。ごめんな。なにせ1時間に1本しか列車来ないから。」



列車が来ない事まで自分が悪いかのように頭を掻きながら苦笑いを浮かべる。



(千葉君、本当にこれでいいのかな…。)



頭の片隅から美咲の顔が離れない。



『いい?千葉君と仲良くしたらどうなるのか、分かっているわよね?』



あの時の恫喝した声を思い出すと、怖さで自然と体が震えてくる。


けれど、そんな穂乃花の気持ちを癒すかのように稔は明るく元気に接してくれる。



(優しくしてもらってるから…。)



ついつい稔のペースに流されてしまう。


到着した列車に向かい合って座ると、すぐに動き出した。


列車は山の裾野をゆっくりと走り、やがて山間部へ入って行く。


いくつもの長いトンネルと走り抜け、松本の町が車窓から見えた時には既にお昼近くになっていた。


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