晴れ、時々、運命のいたずら



「ねぇ、穂乃花。」



「ん?」



「千葉君の事、好きなの?」



真澄の言葉に反応し、思わず立ち止まって俯いた。



「…分からない。」



それが今の正直な気持ち。


真澄は立ち止まった穂乃花の前に立ち、両肩を抱いて微笑んだ。



「私は穂乃花の味方だから。自分に素直になる事が一番だよ。」



「うん。」



「じゃ、また明日ね。」



「また明日…。」



真澄と別れて1人歩き出す。


松本城に行った時、急に手を繋がれてどうしたらいいのか分からなくなった。


けれど、心の中で何か熱い物がこみ上げてくるようだった。



(私、千葉君の事好きなのかな…。)



笑顔を見ていると自分も自然と笑顔になれる。


素直な気持ちで向き合っていられる気がする。



(それが、好きって気持ちなのかな…。)



考えながら歩いていると、書店の前に差し掛かった。


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