不器用なシンデレラ
 何か閃いたのか、本田さんが私の顔をじっと見る。

「何をですか?」

「明日、僕見合いがあるんだけど、他に好きな女がいるし断りたいんだ。君、恋人の振りしてくれない?」

「駄目ですよ。私なんかじゃ信憑性ありません。その好きな人に頼めばいいじゃないですか?」

 私はぶんぶんと頭を振る。

「君みたいに純粋で真っ直ぐな子って貴重なんだよ。それに、僕の好きな人は、性格が複雑でね。お互い様なんだけど」 

 本田さんは苦笑する。

「でも・・・」

 近くにいすぎるって・・・長谷部さんの事じゃないのかな?

 誤解されたくないんだけど・・・・。

「鷹野には知られたくないんでしょ?だったらちょっとだけ僕につき合ってよ。ホテルのレストランで食事するだけだよ。大丈夫。さあ、行こうか?」

 3人で螺旋階段を下りてダイニングへ向かう。

 30人くらいの老若男女が楽しそうに食事をしていた。

 その中央に黒いグランドピアノがあった。
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