不器用なシンデレラ
 そして、私の左手の薬指にはめた。

 それは、センターストーンが1カラットはありそうな煌びやかな指輪で、その石の周囲を小さなダイヤが囲んでいる。

 遠くからでもその輝きがわかりそうだ。

 それを見た園児達が「すごい、お星さまみたい!」と騒いでいる。

「花音先生、お姫さまみたい」 

 1人の女の子が指輪をうっとり眺めながら呟く。

 5-6才でも、女の子はこの年齢になるとおしゃれだ。

 プリンセスとかドレスとかに興味津々の年頃。

「良かった。サイズピッタリだな」

 理人くんが満足気に言うと、園児の誰かが「キス、キス」と言って手を叩く。

 周りにいた園児全員がそれに合わせて、教室内はキスコールの嵐となった。

 こうなってしまうと静かにさせるのは難しい。

「みんな・・・!」

 静かにと叫ぼうとして、理人くんの手で口を塞がれた。
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