不器用なシンデレラ
「子供たちは今日の証人だし、期待には応えないとね」

 理人くんが私の耳元で悪戯っぽく呟く。

「え、駄目だよ。理人く・・・!」 

 私の制止も聞かず理人くんは私に顔を近づけると、本当の王子様みたいに優しく口付けた。

 周りの園児達はそれを見てさらに叫ぶ。

「花音先生、顔真っ赤!」 

 この状況で平静でいられる訳がない。

 両手で真っ赤に染まった顔を隠すと、理人くんがまた耳元で囁いた。

「子供たちまだ納得してないみたいなんだけど、もう一回しとく?」

「・・・もう本当に駄目!」

 しゃがみ込んで顔を隠す私を見て、理人くんはクスクスと声を出して笑う。

 彼のそんな姿を見るのは嬉しいけど、これは恥ずかし過ぎる。

 でも、理人くんが私を見る目がとても優しくて、凄く愛されてるんだなって感じる。
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