不器用なシンデレラ

「バーカ、早合点しないの。圭吾にお前の裸なんて見せたくないから、今夜はキスだけ。あとは・・・・」

「あとは？」

　花音が俺を見上げる。

「俺、今日帰国したばっかりだし、花音を抱き締めたまま安眠したい」

　花音を抱き上げベッドに運ぶ。

　今回の出張は親父にこき使われたのでかなりハードだった。

　おまけに時差ぼけとシャンパンの酔いが回ってきたらしくて本当に眠い。

「うん、出張お疲れ様。婚姻届もありがとう。理人くんと結婚出来るなんてまだ夢見てるみたい」

　そう言って花音がちょっと恥ずかしそうに俺にキスをする。

　彼女の唇が俺から離れると、彼女を背後から抱き締めて耳元で囁いた。

「全部現実だから、明日の朝も、10年後の朝も、俺が花音を目覚めさせるよ。花音は朝寝坊だから」