不器用なシンデレラ
「他の優秀な部下に仕事頼んだらどうですか?俺はまだ入社2年目ですよ」

「お前は別格だろ?彩に怒られるよ。なあ、鷹野、頼む」

「本田さんがいない方が紗良ちゃんの検診もすぐ終わると思いますけど」

「そんな事言わずにさあ」

「仕方ありませんね。その代わり、C社の契約更新、本田さん行ってくださいね。あそこの女部長が結構しつこくて。本田さんの得意分野でしょう。俺じゃ角がたつのでお願いします」

「げっ、あの部長かよ。あれは・・俺の範疇外というか」

「じゃあ、休みは無しで」

「わかった。やるよ、やる。あーあ、これじゃあどっちが上司かわからないじゃないか」

「そう思うなら、仕事しっかりしてくださいね。育メンになりすぎて降格なんて事のないように」

「おいおい脅すなよ。社長の息子が言うと洒落になんない。そんな事言ってると、花音ちゃんにお前の弱み聞いちゃうぞ」

「俺の弱みなんて花音と琴音くらいですよ」

「いや、他にもあるはずだ。でなきゃお前完璧過ぎるじゃん」

「真面目過ぎるって人には言われますけど」

「お前の場合、それ弱点じゃなくて武器だから。上司の俺を遠慮なく説教する部下なんてお前くらいだよ」
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