不器用なシンデレラ
「・・・私・・行かなきゃ」

 理人くんの胸に手を置いて彼から離れようとする。

 だが、彼は私を離してはくれない。
 
「行くってどこへ?」

「病院の支払いとか・・・この後おばあちゃんと家に帰っていいのか聞いてこなきゃ・・・あとこういう時何をすればいいんだっけ?」

 私は力なく笑う。

 本当に成人しても何の役にも立たない。

 ただの役立たずだ。

 赤ちゃんと変わらない。

 自分が情けない。

「大丈夫。全部手配してる。もう少ししたら、葬儀屋が来て雅代さんを家まで運んでくれる。そしたら、一緒に帰ろう」

 でも、理人くんはいつでもどんな時でも完璧だ。

 私みたいな出来損ないとは違う。

「ごめんね、ありがとう。でも、もういいの。大丈夫だから。自分の家くらいちゃんと帰れるよ」

 ヘラヘラ笑いながら、私は理人くんから離れる。

 だが、すぐにバランスを崩して彼に支えられた。
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