不器用なシンデレラ
「これのどこが大丈夫なの?」

「ちょっと、よろけただけ。本当に大丈夫だから。ふふふ」

 なんだかおかしくもないのに段々笑いが止まらなくなってきた。

「・・・・」

「ふふ、大丈夫だから、ね。帰るだけだよ。犬でも出来る。大丈夫ったら大丈夫。1人で何だって出来ちゃうよ。ふふ、今なら空でも飛べそう」

 飛行機の真似をして腕を伸ばすと、突然理人くんに頬を叩かれた。

 パチンという音が霊安室に響く。

 私は叩かれた勢いでそのまま床にへたり込んだ。

「・・・痛い」

 床をじっと見つめながら頬を押さえる。

 さっきのおかしな笑いは止まっていた。

 代わりに、涙が止めどなく流れる。

「ほら、全然大丈夫じゃない。叩いてごめん。痛かったよな」

 私の頬をハンカチで拭うと、理人くんが優しく抱き締めてくれた。
< 62 / 358 >

この作品をシェア

pagetop