不器用なシンデレラ
 有り得ない。
 
 こんな何にも出来ない私を?

「理由なんてない。俺がお前を好きなだけ」
 
 そんな私の思考を読んだのか、理人くんは真摯な眼で告げた。

「・・・・」

「そして今・・無性に花音が欲しい。意味わかる?」

 私がゆっくり頷くと、理人くんはゆっくり一枚一枚私の服を脱がしていく。

 最後には私の心の中までも丸裸にして。

 月明かりの中、私達は静かに愛し合った。

 言葉はいらない。

 肌に伝わる熱が私達を熱くする。

 月だけは知っている。

 理人くんの情熱も、私の想いも。

 今夜だけは自分の気持ちに正直になろう。

 私の気持ち全てを理人くんにあげよう。
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