不器用なシンデレラ
「さあ、飲みなさい」 

 部長さんが私の口に冷酒を運ぶ。

「・・・・」

 断れずゴクリと一気に飲み干したが、口の中が辛い感じがして水が欲しくなる。

「いけるじゃないか。もっと飲みなさい」 

 また、部長さんが私の口に運んだが、私が拒んでいると着ていたブラウスにわざとお酒をかけた。

「ああ、濡れてしまったね。これは、もう脱いだ方がいいんじゃないか?」 

 部長さんの手が私のブラウスに触れる。

「いや!」

 私は部長さんの手を払いのけた。

 怖い。

 こんな時になってあの理人くんの言葉を思い出す。

「 男を見たらみんな鬼畜と思え 」

 あの時は本当に冗談だと思ってた。

 今なら痛いほどわかる。
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