SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
いつもの、非常階段。
「今日、終わったら行くよ。」
の、言葉を期待して。
ぐいっと開けた扉の向こうには、大哉と塾長、二人がいた。
「あ、ちょうど良かった、裕木先生。」
指に煙草を挟んだまま、塾長が私を手招きする。
「はい。」
何気ない振りをして近付くと、ちょっと困ったような笑顔と視線が重なった。
「裕木先生、今日、残業をお願いできるかな。」
「えっ、ああ、はい。大丈夫ですけど…。」
「ああ、良かった。
いやね、葛西先生が今から早退するからね、ちょっと人手が足りないんだよ。」
――――――!!