SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
こんな日に限って、少し高めのヒール。
大哉がプレゼントしてくれた、7センチのやつ。
傷付けちゃったら、嫌だなぁ、なんて目を凝らして。
よいしょっと、―――。
もう一度、履き直し、そのままぐいっと引き抜いた。
んんっ、―――――!?
気付いた時にはもう、―――。
「…ひっ。」
私の身体は右足を軸にして、アスファルトに倒れ込んでいった。
自転車を握りしめたまま、悲鳴を上げる隙もなく。
―――――――!!!!
深夜に響き渡る、大きな音。
「…たたた…。」
起き上がろうにも、足が動かない。