今を生きるから
好きか嫌いか
「ねえ癒羽葉ー」
「なに?」
「将来の夢って、なに?」
「・・・んー。お嫁さんっ!!!」
「えー。この間と変わってないじゃん!」

小さな頃、癒夜との会話は[夢]についてが多かった。
そのたび私は、[お嫁さん]って答えていた。
夢なんて思いつかないし、必要ないって思っていたから。

「癒羽葉って夢ないよねー」

そんなことよく言われた。
そのたびに

「いいの。わたしみたいなのは げんじつしゅぎしゃ ってゆーのっ」

って、よくわからない言葉を使いながら流していた。


そうだ。
私はいつも[夢]より[現実]を最優先して来た。
そのことは中学生あたりから、少しずつ自覚していた
でもきっと、もっと前から
ずっと小さな頃から[現実]だけを見てきた。

だから、[恋]ができない。
って言うと可笑しいけど、関係ない。
とは言いきれないと思う。
現実だけを見てきた私は、いつのまにか
誰もが持ってる[純粋さ]まで失ったんじゃないのか。
だから、[好き]という気持ちに嘘ついて
[Like]という言葉を使っていたんじゃないのか。
本当は、わかっていたんじゃないのか。
癒夜を好きだ。
ということが・・・・。
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