パズルのピースを繋いだら
駅の反対側の改札を出たところに、三階建ての小さな駅ビルがある。その二階にあるアクセサリーショップが私の職場だ。
数百円から三千円くらいの価格帯で、ネックレスやピアスの他にヘッドアクセやスマートフォンケースなんかも取り扱っている。
当然客層は十代から二十代前半くらいの女性になるのだが、ある夕方、一人の男性が店を訪れた。
その男性に連れはいないようで、せわしなく店内を歩き回っていた。焦っているようだ。
「何かお探しですか?」
営業スマイルを顔に貼り付けて話しかけた。レジは先輩社員がやってくれているので、ちょうど手持ち無沙汰だったのだ。
その男性は背が高く、見上げる格好になる。
「ああ、あの。」
気恥ずかしそうに笑った口元から、八重歯が覗いた。