パズルのピースを繋いだら
「名前なら書いてあるだろうが。」
その男は自分の脚の向こうを指差した。段ボールの切れ端に名前らしきものが書いて立ててある。
「のがた……えい?」
「は?おまえローマ字も読めねぇのかよ。あきだよ、あき。」
なんなの、この人。不躾な物言いへの怒りが不信感を上回る。
確かに「野方瑛」と大きく書かれた上に「NOGATA AKI」と小さく記してある。
「……なんか用ですか。というか何で私の名前知ってるの。気持ち悪。」
初対面の人に気持ち悪いだなんて、思っていても普段は言わないけれど、この人になら言ってもいいだろう。
腹の中でじわじわ煮えたぎる不快感が私を攻撃的にさせてゆく。聡といる時の幸福感とは正反対だ。