おててがくりーむぱん2


「本日はよろしくお願いいたします」
佑司は笑顔で頭を下げると、光恵に視線を移す。それから「あ!」と声を上げた。


「よろしくお願いします」
光恵はとりあえず佑司にそう言った。本当はこの偶然に、ものすごく慌てている。


「ん? 知り合い?」
野島が首を傾げて、光恵の顔を覗き込んだ。


「はい、同級生です」
「おお、そうかあ」
野島はうれしそうな顔をした。


「いやいや、運命的だな」
野島は一人で盛り上がり、にやにやしながら光恵を見る。


「何言ってるんですか、野島さん」
光恵は動揺を隠しながら言った。


「彼はもう結婚しているんですよ」


野島はぽかんとした顔をしてから、明らかにがっかりした顔になった。


「なんだ、つまらない。面白くなると思ったのに」
「そんなこと言ってないで、仕事しましょうよ」
光恵は気持ちを切り替えて、野島を促した。


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