おててがくりーむぱん2


「ごめんね、なんだか」
「いいよ、別に」
「ほんと、いろんな理由を付けて、断るから」
光恵が言うと、佑司は「いいのに」と返す。


「俺、婚約者の役やってもいいよ」
「そんなの悪いよ」
「だって、あの人、すごく喜んでたじゃないか」
佑司が笑う。


「そうだけど……」
「佐田さん、連れて行くわけいかないだろ?」
「……」
「いいって。光恵のためなら、なんでも協力するし」
「……ありがとう」


佑司はもしかして、まだ、わたしを気にしている?


光恵はふと、そんな考えが頭をよぎった。


いやいや、もう昔のこと。
わたしにも孝志がいる。


「佐田さんにも、ちゃんと言っといて。また突き飛ばされるのは、ごめんだから」
「……ほんと、ごめんなさい」
「いいって」


佑司がぽんぽんと光恵の背中を叩く。


あ、昔もこんな風にされた。


光恵の心が思わずきゅっと締め付けられる。


でも……。
孝志は荒れるだろうな。


光恵は、このことを知ったときに孝志を想像して、思わず身震いした。


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